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2011/11/03

機材を入手したオハナシ AMDEK CMU-800

さて、今回のエントリーは最近入手した機材の話です。紆余曲折があって我が家にやってきた機材のオハナシでございます。気持ちが高揚したので長文ですよ。(笑)

手に入れたのはズバリ『CMU-800』と言うものです。(※詳しくは後述しますが私の個体はAMDEK社製のものです)

では今回のオハナシを語るうえでまずはコイツの成り立ちから話を進めていきましょう。


【CMU-800と発売当時の時代背景】
コイツが発売されたのは1982年。価格は65,000円。時代背景をリアルに想像するために助けとしてこの年のトピックを幾つか挙げてみると・・・

・CD(compact disk)生産開始
・MIDI基本規格(フォーマット)の完成
・500円硬貨発行
・電電公社テレホンカード発売開始
・惑星直列起こる(次回は2161年らしい)
・コボちゃん連載開始

ちなみに当時私がテレビで影響を受けていたアニメはこういうものでした。
http://www.youtube.com/watch?v=Pg-VHqgjd2s
どんだけイケイケだよ(笑 タツノコプロはすげえなぁ。

このような出来事のあった年であり、テクノロジーが新たなフェーズに移行しているような世相がありました。当時は楽器に限らずアナログというものは時代遅れでデジタルこそが至上だという潮流があったように思います。勿論電子楽器もどんどんデジタル化が進んでいった時代です。参考までにこの時期に各社が発売した電子楽器を並べてみると・・・

■KORG
Mono/Poly (1981)
Polysix (1981)
Poly61 (1982)

■Roland
Jupiter-8 (1981)
SH-101 (1982)
Juno-6 (1982)
Jupiter-6 (1983)
TR-909 (1983) ※TR-808は1980年、TR-606は1981年発売

■YAMAHA
MR-10 (1982)
CS-01 (1982)
SY-20 (1982)
DX-7 (1983)
RX-11 (1984)

■Sequential Circuits Inc
Pro-One (1981)
Prophet-600 (1983)
Drumtraks (1983)

■E-mu
Emullator (1982)

■Moog
Memorymoog (1982)

と、こんな感じです。機材好きの方はこのラインナップで当時の雰囲気がなんとなく想像できるかと思います。
で、今回取り上げるCMU-800というのはAMDEK(現Roland DG)がこういった時代に世に送り出した『複数のアナログ音源を持つ、8chCV/GATE out端子付音源』なんです。

※AMDEKは当時のRolandの子会社で1983年にRolandDGに社名変更。このCMU-800はちょうどその過渡期に販売されていたためAMDEKロゴの個体とRolandDGロゴの個体があります。中身に差異はありません。

もう少し詳しくCMU-800の説明をしましょう。
この時代、MIDIはまだ普及しておらず、コンピューター制御でシーケンスパターンを鳴らす事はまだまだ特別な事でした。RolandからはCV/GATEシーケンサーのMC-8が1977年に発売されていましたが、価格が120万円もするとあって個人ユーザーが使用するには敷居の高いものでした。このマシンの使用者として有名なのはYMOでしょうか?お馴染みのコズミックサーフィン、ライディーン、テクノポリスなどはこのMC-8からアナログシンセをコントロールしてトラックが作られていました。また、このMC-8の改良版MC-4も1984年に発売されましたがこちらも43万という高価なものでした。(蛇足ですが、この型番である『MC』はMicroComposerの略。後のMC-202などに冠が引き継がれています。)
そんな中、RolandブランドではなくAMDEKから世に送り出されたのがこのCMU-800でした。CMU-800にはシーケンサーが付いておらず、これ単体では音を出す事が出来ません。では当時どうやって音を出したのでしょうか?実はこのCMU-800にPCを接続し、PC上に展開したシーケンサープログラムによってCMU-800の内臓音源をコントロールする仕様だったのです。(ここからCMU-800は日本初のDTMツールと称されることもあります。)具体的にはCMU-800を鳴らしてやるには・・・
1、CMU-800本体
2、CMU-800とPCを接続するためのインターフェイス
  PC-8801用、MZ用、APPLEⅡ用など使用するPCによって個別のインターフェイスを用意する必要があった
3、特定のPC
4、シーケンサープログラム(カセットテープデータ)

が必要だったのです。
これだけの環境を整えて音を実際に出せた方はどの程度いらっしゃったのでしょうか?youtubeを見てきたところ、実際にAPPLEⅡ上のシーケンスプログラムからCMU-800を制御している方がいらっしゃいました。コンピューターで制御して外部機材の音を出すというまさにDTMの原型ですね。

http://www.youtube.com/watch?v=CF5ufVD5E1s

1983年になるとMIDIが一気に世に広がり、MIDIハードシーケンサーが発売されるようになりました。YAMAHAのQX-1は1984年に、RolandのMC-500は1986年に発売されました。またソフトウェアシーケンサーもどんどん一般化していき、必然的にCMU-800は時代に埋もれて行ったわけです。


【2011年CMU-800との出会い】
ヤツと出会ったのは2011年6月頃だったかと記憶しています。
自分は都内で中古楽器を扱う店をよく訪ねるのですが、その中にイシバシ楽器の新宿店があります。いわゆるビンテージと称されるものの扱いはそれほど多くはないのですがたまに掘り出し物が出てきます。
その日も何気なく中古品売り場を覗いたのですが、カウンターの横に『売約済み』のPOPが付けられたCMU-800が置かれていました。実物を見たのは初めてでした。とたんに「欲しい」と思いましたが売約済みは売約済みです。「あと数日早く来ればよかった」と悔しく思いながらその姿を目に焼き付けていました。
その後も新宿店を何度か訪れたのですが、『売約済み』が貼られたままいつまでもそこに置かれていました。
2011年10月後半、いつものように新宿店を訪れるとCMU-800がいつもの場所から無くなっていました。「そうか、やっと誰かに引き取られていったか」と心で思いながら中古品棚に目をやりました。いましたCMU-800。
すぐにレジにもって行き、とうとう自分の手に落ちてきました。ばんざい。


【問題点と解決策】
そんなわけでやっとご紹介できます。
我が家にやって来たAMDEKロゴのCMU-800でございます。

Cmu800_01

喜んでいますが大きな問題がありました。
前述したようにCMU-800は『複数のアナログ音源を持つ、8chCV/GATE out端子付音源』です。単体では音が出せません。コイツで楽しむためには当時のマイコンを買って、インターフェイスをどこかで見つけて、プログラムデータのカセットテープを探して、データレコーダを購入してという何重もの壁があるのです。

しかしこの問題をてっとり早く解決してくれる方法があったのです。
個人でこのCMU-800用のMIDI変換インターフェイス(以下MIDI-IF)を制作されている方がいたのです。
Twitterで繋がっているRJBさんでした。RJBさんの以前のツイートでCMU-800のMIDI-IFを制作なさっているのを知っていたため、中古棚に置いてあるのを見た瞬間に何の迷いもなく購入に走れたと言うわけです。

家に連れて帰ったその日のうちにRJBさんとコンタクトを取り、MIDI-IFを購入させていただきました。

MIDI-IFが届くまでの数日間、CMU-800と、もともと持っているRolandDG製のCMU-810(1オシレーターの単純なアナログシンセ)と並べてうっとり愛でたりして到着を待ちました。

Cmu800_cmu810

数日後、MIDI-IFが届きました。

Cmu800_midiif01

早速CMU-800に接続します。

Cmu800_02

このMIDI-IFは本体を改造せずに、もともとの型を保ったまま簡単に接続できる点も魅力だと思います。
CMU-800本体から出ているケーブルにこのMIDI-IFを突き刺すだけでMIDI音源として使えるようになるのです。(しかもMIDIチャンネル指定で個別に任意の音色を鳴らせる仕様です)
また、このMIDI-IFはDIN sync out端子も備えています。つまりシーケンサーからのMIDIクロックでTB-303やTR-606やTR-707を同期させてやる事もできます。
実に実用的で無駄がないとIFだと感じています。(プログラム的なことはまったく分かりませんが)
※このCMU-800 MIDI-IFはRJBさんが個人で制作されているものですので必ずしも入手できるものではありません。興味を持たれた方は在庫情報などRJBさんのブログでご確認ください。

Cmu800_03

RJBlog
http://www.rjblog.net/

PCのソフトウェアシーケンサーでパターンを作り、CMU-800を鳴らしてみました。
猛烈に感動しました。

では肝心のCMU-800のスペックです。

[CMU-800仕様]
・内臓音源
 1ch メロディー(リード向け)
 2ch ベース
 3ch-6ch コード(四つのチャンネルを使って4和音が出せます)
 7ch (CV/GATE outのみで音源なし)
 8ch (CV/GATE outのみで音源なし。ただし8chのCV/GATE outのみ
    ポルタメントをコントロールできるつまみ有り)
 9ch リズム
・リズム音
 バスドラム、スネア、ロータム、ハイタム、シンバル、オープンハイハット、
 クローズドハイハットの7音色。イメージとしてはTR-606に類似した音
 オープンハイハットのディケイはクローズドを打つとちゃんと止まる(消せる)仕様

と、こんな音がMIDI制御で出せるようになったわけです。
またMIDIで8ch分のCV/GATE out信号をコントロールできるマシンに生まれ変わったのです!

このような紆余曲折があり、発売から29年目にしてこのCMU-800が我が家に落ち着きました。
こいつはいろんな使い方ができるとイメージを刺激されています。もちろんCMU-810とも並べて使ってやりたいなぁ。

それではコクピットからお届けするCMU-800の1st音出しです。本体からの直の出音です。

いやー、痺れた。


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2011/11/06 追記
その後CMU-800のクセを掴むため、いろいろなアイデアを試しています。
『こんな使い方もできるよ』というサンプル動画を撮りましたので追加しておきます。上に貼ってある動画を含め、3つの動画ではCV/GATE out端子は使用していません。8ch分のCV/GATE out端子の存在を考えると、まだまだCMU-800にはいろいろな使い方が考えられます。


パラアウトテスト動画
parallel out test

メロディー、ベース、コード、リズムの4音色それぞれを個別にミキサーのフェーダーに立ち上げてのパラアウトテストです。チャンネル別にエフェクトをリアルタイムに操作してDUB的な手法で展開を作ってみました。使用した音源はCMU-800のみ。シーケンスパターンはPCのソフトウェアシーケンサーで組んでいます。


他のMIDI機器からの動作テスト
drive a CMU with other Machine

FUTURERETRO社のREVOLUTONというベースマシンからCMU-800をコントロールしてみました。
REVOLUTONの内臓シーケンサーでCMUのドラムチャンネルを鳴らすパターンを組んでいます。REVOLUTONには4段階のシャッフル機能がついていますがそのシャッフルノリをドラムパターンにも生かせると分かりました。(シャッフル値=2が一番気持ちよいでしょうか)
また、REVOLUTONが持っている『REMIX機能』がうまくハマりました。(REMIX機能とは、予め自分で打ち込んでおいたパターンを一定の法則に則って音楽的にパターン組み換えしてくれる機能のこと。動画の1'20"からドラムパターンが変化するのはこのREMIX機能で作り出したドラムパターンです)
なお、途中から入ってくるベース音はREVOLUTIONNのものです。


アイデア次第でまだまだコイツは化ける!

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